ソニー(SONY)のミラーレス一眼 α NEXシリーズ徹底比較(NEX-C3,NEX-5N,NEX-7)
2010年6月3日に彗星のごとく登場して一気にミラーレス一眼カメラの主役に躍り出たSONYのα NEXシリーズ。そんな人気のシリーズも進化を遂げ、2011年6月にはNEX-3の後継機にあたるNEX-C3が、そして2011年9月にはNEX-5の後継機にあたるNEX-5Nが発売され、そして2011年11月にはNEX-C3、NEX-5NよりハイクラスのモデルとしてのNEX-7の発売が予定されている。
そこで今回は、このNEX-C3、NEX-5N、NEX-7の3機種のスペックを、私の使用実感とSONYの方の意見を総合して比較してみる。どのカメラを選んだら良いかわからないという人の参考になったら幸いだ。
ソニー(SONY)のα NEXシリーズとは
まずおさらいになるが、ミラーレスカメラは小さくて軽い持ち運びのできる『一眼レフカメラ』の位置づけとして開発されたカメラである(ミラーによる光の反射がないので正確には一眼『レフ』カメラではないが)。
光学式ファインダー(レフレックスファインダー)構造を除くことで劇的な小型・軽量化を達成したこのミラーレス一眼カメラは、
「きれいな写真を撮影したいが、本格的な一眼レフカメラは重すぎるしおしゃれじゃなくてイヤだ・・・」
という人達の支持を受け、2008年9月にパナソニックが世界初のミラーレス一眼カメラの「LUMIX DMC-G1」を発表して以来、その人気はとどまることを知らず、現在までに様々な機種が発売されてきた。
そんな様々な機種の中で、このソニーのα NEXシリーズの特徴は、ソニーも謳っている通り『一眼クオリティー』ということだろう。つまりミドルクラスのデジタル一眼レフカメラでも採用されているAPS-Cサイズ規格の撮像素子を採用し(オリンパスやパナソニックのミラーレスカメラの撮像素子の約1.6倍の大きさがある)、その連写性能やオートフォーカース機能は他の追随を許さない。以下では、そんな一眼クオリティーのα NEXシリーズの各カメラを比較していく。
NEX-C3,NEX-5N,NEX-7それぞれの位置づけ
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NEX-C3
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NEX-5N
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NEX-7
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ボディ
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プラスチック
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マグネシウム合金
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マグネシウム合金
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画素数
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1,620万画素
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1,610万画素
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2,430万画素
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ISO感度
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100~1,2800
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100~2,5600
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100~1,6000
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ファインダー
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光学ビューファインダー(別売)
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電子ビューファインダー(視野率約100% 235万ドット)(別売)
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電子ビューファインダー(視野率約100% 235万ドット)(内蔵)
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連続撮影
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[速度優先連続撮影時]約5.5コマ/秒
[ 通常連続撮影時 ]約2.5コマ/秒
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[速度優先連続撮影時]約10コマ/秒
[ 通常連続撮影時 ]約3コマ/秒
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[速度優先連続撮影時]約10コマ/秒
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液晶モニター
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92.1万ドット、3.0型ワイドエクストラファイン液晶
上方向約80度、下方向約45度まで変えられる可動式液晶
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92.1万ドット、3.0型ワイドエクストラファイン液晶
上方向約80度、下方向約45度まで変えられる可動式液晶
思いのままに操作できるタッチパネルオペレーション
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92.1万ドット、3.0型ワイドエクストラファイン液晶
上方向約90度、下方向約45度まで変えられる可動式液晶
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ムービー
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1,280×720画素(ハイビジョン)で秒間約30コマ
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1,920×1,080画素(フルハイビジョン)で秒間約60コマ
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1,920×1,080画素(フルハイビジョン)で秒間約60コマ
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電源
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約400枚(200分)
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約430枚(215分)
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ファインダー使用時 :約350枚
液晶モニター使用時:約430枚(215分)
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重量
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225g
(バッテリー・メモリー込み 283g)
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210g
(バッテリー・メモリー込み 269g)
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291g
(バッテリー・メモリー込み 350g)
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▼各ミラーレス一眼カメラの価格は以下のリンクから確認できます▼
ではいよいよNEX-C3,NEX-5N,NEX-7それぞれの比較をしていこう。その最初として、ソニーがどのような人をターゲットに各カメラを開発しているかということに触れ、その上で、各機種の詳細を比較する。
まず各機種のターゲットからだが、NEX-C3はデジタル一眼レフカメラの入門機(エントリークラス)の位置づけで、『デジタルコンパクトカメラよりきれいで、もっと色々自分なりの表現をしたい人』をターゲットにしたカメラと言って良いだろう。ミドルクラス(中級機)のデジタル一眼レフカメラと同じ大きさの撮像素子を装備することで、デジタルコンパクトカメラにはできない一眼ならではの美しいぼけ味の表現や、きめ細かな階調表現、ノイズの少ないクリアな画質を実現し、レンズ交換によって1台のカメラで様々な表現ができるようになっている。ただ、初代機のNEX-3からモデルチェンジするにあたり、上位機のNEX-5シリーズ(現在はNEX-5N)との差を明確にするために、連写撮影機能を毎秒7コマから5.5コマに減らしたり、動画撮影能をフルハイビジョンではなくハイビジョンのままにしたりしている点はいただけない。
一方NEX-5Nはデジタル一眼レフカメラをある程度使いこなしている人も楽しめるミドルクラスの位置づけのカメラだ。特筆すべき能力といっては、やはり初代機NEX-5の秒間7コマでも驚嘆の速さだった連写撮影機能が、秒間10コマになったこと。そして、レリーズタイムラグ(シャッターボタンを押してから露光開始までの時間)が世界最速の0.02秒、オートフォーカススピードはNEX-5と比較しておよそ2倍のスピードになっているので、動き回る子供やペットの撮影時でも、その一瞬の仕草や表情を撮り逃す心配がないこと。また、ISO感度が100~25,600まで対応するようになり、レンズ収差補正機能(収差[しゅうさ]とは、レンズによって像ができるときに色づきやボケ、ゆがみが生じること)が搭載されたことで、夜景などの撮影も手持ちで可能になった上に、写真自体のクオリティも格段に上がった。加えて、ボディ(本体)はプラスチック製のNEX-C3と違い、マグネシウム合金を使用しているので十分な高級感と堅牢さが実現されており、デジタル一眼レフカメラ愛好家も満足できる仕上がりになっている。
そして11月に発売予定のNEX-7だが、こちらは製造元のソニーとしてはミドルクラスでも上位クラスの位置づけとして発売しているのだろうが、スペックやそのセットになるレンズなどを考えると、このカメラを購入するならはっきり言ってデジタル一眼レフのハイスペックなミドルクラスを購入するか、下位機種のNEX-5Nを購入したほうが良いだろう。というのもNEX-5NとNEX-7の大きな違いは画素数と電子ビューファインダーが搭載されていることの2点だけなのに、価格が倍近くするからだ。約235万ドットで視野率約100%の電子ビューファインダーは今までの電子ビューファインダーとは比べ物にならない高精細な画を提供してくれるので搭載されていることはうれしいことだが(但し、NEX-5Nでも同スペックの電子ビューファインダーがアクセサリーとして用意されている)、有効画素数をNEX-5Nの1610万画素から2430万画素に上げたことでノイズが出やすくなり、ISO感度を3200以上にして撮影した際にはNEX-5Nの方がノイズの少ない『きれい』な写真が撮影できるのはいただけない。また、レンズキットでついてくるレンズのE 18-55mm F3.5-5.6 OSSではこのカメラの解像力を十分に発揮できない点にも問題がある。ソニーの広報の方に話を聞いたところ、やはりこのカメラの解像度を十分に発揮するためには、12月発売予定のE 24mm F1.8 ZA(希望小売価格103,950円)かE 50mm F1.8 OSS(希望小売価格36,750円)のレンズを購入したほうが良いと言っており、結果、ボディだけでも11万円以上する(予約開始時の価格参考)このカメラとこれらのレンズのセットを購入するのは明らかにコストパフォーマンスが悪いとしか言いようがない。
おすすめ
ここまで飽きずに読んできてくださった方ならもうお分かりと思うが、NEX-C3,NEX-5N,NEX-7の中のおすすめは圧倒的にNEX-5Nだ。
NEX-C3はその上位機種のNEX-5Nと差を明確にするために、NEX-3からモデルチェンジする際に連写撮影能を毎秒7コマから毎秒5.5コマに低下させたり、動画撮影に関してもハイビジョンのままにし、フルハイビジョン撮影ができないようにしている点など、出し惜しみや戦略上のスペックダウンが見られる点がおすすめできない。また、NEX-7はもちろんα NEXシリーズの最上位機種だけあり十分な能力を持っているが、コストパフォーマンスに難がある。
一方、NEX-5Nに関しては、NEX-5と名前と見た目がほとんど変わっていないことからマイナーチェンジしかしていないように思われがちだが、実はスペックは大幅に強化されており、その能力は十分すぎるほどのものがある。NEX-C3,NEX-5N,NEX-7の3機種の中で迷っているのならNEX-5Nを購入するのが良いだろう。
▼各ミラーレス一眼カメラの価格は以下のリンクから確認できます▼